参考書籍:交通事故!遭ったらすぐに役立つ本  │  加害者・被害者のための交通事故完全対応マニュアル新版

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相手が保険に入っていなくて困った

盗難車に追突され、私の車の後部が壊されました。運転者は、私が警察に電話をかけている間に居なくなりました。私の修理代は、どうなるのでしょう。
  1. 盗難された車両が事故を起こし、車両の一部を損壊させたり、けがを負わせた場合、車両の所有者や使用者(保有者)責任が及ぶかが問題となります。泥棒運転には、この車両を使用する正当な権利はありませんので、この損害に対しての保有者責任は、対象外となります。また、他人にけがを負わせた場合なども自賠責保険の対象外ですので被害者は、政府の保障事業扱いとなります。但し、保有者責任が例外的に認められるケースがあります。
  2. 例えば、ドアを開けたまま駐車していたとか、カギをつけたまま放置していたなど保有者の管理上の重大な瑕疵が認められる場合などがあります。泥棒運転による事故であっても、盗難から事故発生までの時間・場所が接近している場合などは、保有者の運行支配権が残っていると認められ保有者責任が認められるケースがあります。よって、実際には、管理上の瑕疵が認められるかどうかの具体的判断には、車両の保管状況、ドアの施錠状態、窓の開閉状態、エンジンキーの保管状況、エンジンキーが付けられていたか否かなどを詳細に検証する必要があります。
  3. さらに、盗難されてから事故発生までの時間の経過、盗難場所から事故発生場所までの距離など調査を行います。万が一、管理上の瑕疵が認められた場合でも、盗難から事故発生まで時間的場所的に離れている場合などは、保有者の運行支配権は及ばないと判断されます。
  4. 実務上は、警察の検証や裁判所の判断に委ねることになるでしょう。事故が発生した場合には、大小問わず警察官に事故の届け出を行います。これによって、車両の運転者、保有者の確認を行い、事故の発生日時場所の特定、車両の損害箇所の確認、事故状況の検証、保険加入の有無などが確認できます。また、現場において車両の盗難被害届が出ていた場合、直ちに、緊急配備等にて泥棒運転の実行犯確保の手配を行うでしょう。さらに、運転者が逃走し使用者不明の場合、車両より所有者確認を行い、その所有者に連絡して盗難車両と判断されたなら詳細な現場検証が行われるものと思料致します。それらを総合的検知から保有者責任を問う判断をした場合、行政書士事務所、司法書士事務所などに相談の上、保有者に対して調停・裁判などを行うことが最良と思料致します。
  5. 自車の任意保険に車両保険が付帯されていた場合、先行して車両保険にて修理可能ですので修理を行います。その上で、請求権代位により、保険会社が上記事項に基づいて保有者責任を求める判断をした場合、専属の弁護士により手続が行われる事になるでしょう。

執筆者:サイト総合保険事務所

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